お知らせ
1月20日2010 UP
2010.01.20 住職日記 2010年1月 その一
樹木葬を選ぶ人たちⅤ
千葉 天徳寺住職 二神成尊
私が東京にいた時に拾った捨て猫が先日死んだ。この猫は愛想が良く、樹木葬を
見学に来る人がいると、墓所まで付いていき、見学の人が帰ると寺に戻ってき
た。この習性があるためか、「寺の人は居なかったけど、猫が樹木葬墓所まで案
内してくれたから、墓所の購入を決めた」という人や、「猫が墓所でたたずんだ
ところを選びました」という人や、「猫に会うために今日はお墓参りに来まし
た」という人など猫ファンが大勢いた。
その営業上手な猫が腎不全になり、次第に衰弱するのをファンも心配した。
1ヵ月に3万円以上かかる治療を約2年費やした。アジアの子どもに奨学金支援
している寺としては、子どもの奨学金15人分もの費用を猫1匹に投じるのに抵抗
があったが、「樹木葬の案内をする猫の営業手当と考えれば安いぐらいじゃない
の」という妻の言葉や、「治療費のカンパをさせてください」という人や、「猫
に会いに来るのがお墓参りの良いきっかけになるわ」という人が数人いたことも
延命治療に仕向けた理由。
ペットとともに眠る樹木葬コーナーを設けているため、猫好きの会員も多く、
この猫の死亡をホームページで知らせた時には追悼のファックスが何通か送られ
てきた。この幸せな猫は今、私が眠る予定の樹木葬墓所に一足先に入った。そこ
に時々花が添えられている。
この猫のお陰で身内を亡くしたばかりの会員が癒されたり、私と会員との縁も
結構深くなったことから、また猫を拾う仏縁を待つ今日この頃である。
千葉県いすみ市大原山田1886
電話/0470-66-1258
盛況!釈徹宗の大乗経典講座
大阪 大蓮寺住職 秋田光彦
たくさんの著書で知られる気鋭の宗教学者釈徹宗さんの「應典院経典講座」
が、10月からスタート。今回は「大乗経典を乱読する」と題して、10月8日
「空」と「唯識」、11月5日「浄土教」、12月3日「密教」をそれぞれ講述いた
だきました。
多くの著作で人気の高い釈さんの講義とあって、毎回60名以上の参加があり、
会場が手狭なため急きょ大蓮寺客殿に移動となりました。釈さんが講義の結語と
された「大乗は問い続ける仏教である」とは、そのまま大蓮寺、應典院の活動理
念にふさわしいフレーズでした。
じつは一昨年開催の経典講座は、その後『いきなり始めるダンマパダ』(サン
ガ)という一書にまとめており、今回の講座も出版化が期待されます。しかし、
「そもそも大乗を3回で語りつくすなど、到底無理」(釈さん)なので、ぜひ来
年秋にも続編を準備したいと思っています。ご期待ください。
大阪市天王寺区下寺町1-1-30
電話/06-677-0113
信じてまかせる ―愛猫家のたより―
神奈川 成就院住職 鳴海善通
猫好きな信者さんから半年ぶりに手紙が届いた。彼女はネコを「我が子」と公
言してはばからない愛猫家。ご無沙汰の理由は、ご自身とともにネコも病気をし
ていたからだ。文筆家らしい彼女の文章は、手紙とは申せ、添えられてきたネコ
の写真とともに、感動を受けた。その一部を紹介しよう。
手紙なのに題名があり、「愛猫はかく語る」と表題されている。
私の名前はミーチャンちゃん。今年12年目の女の子です。ママは若いころの病
で、子どもが産めない身体になりました。だから、わたしのことを「うちの娘」
だと大変かわいがります。名前にちゃんを2つつけて呼び捨てされないようにし
たのです。
初夏のある日、ママが5回目のがんになって、私を抱きしめながら言いまし
た。「ここにミーチャンちゃんがいるから、通院でかんばる!」。ママと一緒に
いられるのはうれしかったけれど、実は私も病気におかされていたのです。かか
りつけの獣医さんに相談しながらママが言った言葉がすごかった。「先生、この
子と一緒に私もお宅に入院します」。
驚いた先生がまたすごい女医さんでした。「わかった! ミーチャンちゃんは
ママのベッドで手術します」。麻酔から覚めて気づいたら、ママも先生も涙して
言いました。「手術は大成功よ!」。そしてママの病気も一緒に完治したのです。
元気になった私を抱きしめてママは言いました。「ミーチャンちゃんは私の大
切な娘。信じ合えることって大事なことよ。さあ、今日も元気でいこう」。不思
議なことにこの頃、理解し合える真の親子になったみたい。
私はネコ。人を信じる喜びを知ったネコなんです。
庚寅の年によせて。
神奈川県茅ケ崎市甘沼473
電話/0467-52-6704
人間も自然の一部
鳥取 正福寺住職 渡辺大修
先日、1人の人類研究者(Kさん)の遺骨が樹木葬墓苑に埋葬されました。K
夫人が3年間、夫の埋葬地を探し、やっと出会えた樹木葬墓苑です。アンネの薔
薇が優しく包む晩秋の陽射しの下でした。
Kさんと正福寺を結びつけたもの、それはやはり大自然でした。夫婦で幾度か
登った大山、夫人は今でもKさんへの想いとともに、よく大山を散策されます。
大山を借景とする墓苑にたどり着かれたのも、自然のことだったのでしょう。
また、墓苑を取り巻く大樹の群れの存在です。大自然に抱かれる安心感、そし
て、Kさんの好きだった山桜も添えて、菩提樹をシンボルとしました。
納骨の際には、Kさんの大好きだった、キリマンジャロ(コーヒー)とワイン
をしっかり注ぎ、いつまでも去りがたい偲ぶ会となりました。
「人間も自然の一部。最後は土に還る、自然に還るのです。Kちゃんは、いま
本当に安心して休んでいると思います。」と話される夫人。
そして、この一隅には、揚羽蝶の産卵樹木であるカラスザンショウの大木があ
り、来春には揚羽蝶がKさんのお相手をしてくることでしょう。
「Kちゃん、また来るね。」と、静かに菩提樹に語りかける夫人の声が、心に
響きます。
「彩なして風に落葉の舞踏会」
12月5日、大山の麓、正福寺より
鳥取県西伯郡大山町茶畑238
電話/0859-54-3860