樹木葬・桜葬のエンディングセンター(東京・大阪)

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お知らせ

「LGBTの終活」の講義を受けて

親族として認めらずとも、パートナーの終活に関れる

中村吉基さん(日本基督教団代々木上原教会牧師・宗教とLGBTネットワーク代表)

認定NPO法人エンディングセンターの「終活大学校」は、コロナ禍で開校できないため、リモートによるプレ授業を行っています。2021年7月24日は、「一緒に考えよう、LGBTの終活」というタイトルで、中村吉基さん(日本基督教団代々木上原教会牧師・宗教とLGBTネットワーク代表)に講義をしていただいた。

その中で、次のようなエピソードを話されました。
地方で知り合い東京に出て来た同性カップルの二人は、7,8年の歳月を共に暮らしてきた。ところがそのうちのAさんに病気が発症、まもなく亡くなられた。Aさんのいのちの終わりが意識されたころ、パートナーのBさんはそのことを親族に知らせた。

LGBTの人たちは、親族とは疎遠になっている人が多いという。Aさんもその一人だった。しかしBさんは思い切ってAさんのご両親に電話をし、次のように告げる。
「自分とAさんは同性カップルで、いまAさんがいのちの終わりを迎えている」と。

ご両親は親戚を伴って上京し、Bさんに、こう言った。
「Aがお世話になりました」と感謝の言葉はあるものの、息子(A)が同性愛者であることを受容できず、激しくBさんを非難し続け、その挙句「もう病院に来ないでほしい」と告げたという。

ある早朝Bさんは意を決し、誰もいない病室へ行き、そこで2人だけで「結婚の誓い」を交わしたという。Aさんはそれから数時間後に息を引きとったそうだ。BさんはAさんの家族から「葬式にも来ないでほしい」と言われたという。

半年を経てBさんは、中村さんのいる教会に来て、2人が交わした「結婚の誓い」が正しかったのかどうか、問いかけてきた。中村さんは、Bさんのグリーフケアも考えて、改めて教会で結婚式をしようと提案した。数ヶ月後、Bさんは、いろいろな人達に祝福され、亡くなったAさんとの結婚式を挙げたという。

中村さんは、「法律上、婚姻していないカップルは医療保険の被扶養者になれない。そして手術が必要になっても医療行為に同意できないし、インフォームドコンセントの対象者にもなれない。葬儀にも参列できないといったことが、いま日本社会に起こっているということをぜひ心に刻んでいただければと思います」と話された。

私は、これらの話を聞いて、同性であるがゆえに一緒に暮らしていても途中で関係性を断たれてしまったり、パートナーが亡くなると、喪主にもなれない無念さを感じ、「不条理」や「切なさ」がこみ上げてきた。しかしそれと同時に、「LGBTのあなたたちだけではない。親族のいない人たちも同様であること。エンディングセンターはそれらの人々が救われるサポートを行っている、それを知らせてあげたい」という思いも沸き上った。

いまだ「親族主義」を残す日本社会では、終活の場面で差別されているのは、LGBTの人たちだけではない。死後の担い手がいない単身者、子どものいない人たちも同様だ。その人たちが、いかに自分らしく、人間の尊厳をもって生き、死んでいけるかを考え実践しているのがエンディングセンターだ。

同性であるだけで法的に配偶者として認められない「無念さ」は十分わかるし、抗議すべきことだ。しかし、国が法的に認めないならば、社会が変わるまで待ってはいられない、今を大切に生きたいではないか。だからこそ、親族として認められないならば、それを逆手に取って、「親族でもない第三者」が主体的に取り仕切れる法的方法を取り入れればいいのではないかと思う。

エンディングセンターが行っている「親族でもない第三者が、葬儀や死後のことを主宰する権利を持つための法的な方法(民法897条「祭祀主宰者の指定」)や、医療同意や、入院の身元保証、死後の火葬からお墓に埋葬し、死後事務を全て第三者が担う委任契約(民法643条)をすることによって可能になるのだ。

私は長年、大学で「ジェンダー論」の講義を行い、その中でLGBTについて学生たちと学んできた。当事者ではないが、当事者だから話せることの他に、別の角度から話せることもあるだろう。エンディングセンターの「終活大学校」は、1つのテーマをいろいろな角度からアプローチすることや、実践できる力をつける講義であること、社会的少数者の事象を大切に取り上げることをめざしている。

ということで、いずれ「終活大学校」が正式に開講できたら、中村吉基さんが話されたLGBTの困難さを多少なりともクリアーできる方法として、私も「LGBTの終活」についてお話しできたらと思っている。

 

 

 

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