樹木葬・桜葬のエンディングセンター(東京・大阪)

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お知らせ

コロナ禍の中での葬儀

「本日、祖父が亡くなり、講義に出席することができません」

亡き人に手向けたい白薔薇

亡き人に手向けたい白薔薇

いま大学では、すべての授業を非対面で行っています。
いわゆるオンライン授業です。
私の「世代論」という授業は、260名の学生が受講し
ています。新学期が始まっているのに、いまだ一度も
学生と顔を合わせたことがありません。

その学生の一人からメールが入りました。
「本日、祖父が亡くなり、明日にお通夜、明後日が
葬儀となりますので、明日の講義に出席することが
できません」と。

私は、「葬儀があることがわかる書類、例えば
<会葬礼状>などがあったら写真に撮って
メールに添付してもらえれば、出席扱いにします」
と返信しました。
学生からは、さっそく葬儀社が出している「葬儀打合せ表」が送られてきました。

この学生の祖父の葬儀の場は、東京ではなかったので、コロナ感染者が少ないためか、
通夜・葬儀とも行いましたが、いま東京では、新型コロナ感染対策として、多くの葬
儀社が葬儀の方法をいろいろ提案しています。そこで私が知り得た、新型コロナ禍に
おける葬送関係の変化を話してみたいと思います。

ソーシャル・ディスタンスでいえば、死因が新型コロナ感染とは無関係でも、葬儀で3密
を避ける工夫がされています。

その一つが「1日葬」です。
通常は、通夜・葬儀と2日間にわたって儀式が続きますが、それを1日にして、葬儀だけ
を行う形式です。しかも「密集」を避け、10名程度の少人数で、会食もなしで家族葬を
行っています。
そのほか「後日葬」と名づけて、火葬だけ済ませ、後日あらためて参列者を呼んだ葬儀
を行うことも勧めています。

一方、都内の火葬場では、新型コロナ感染者が亡くなった場合の火葬は、午後4時以降と
決め、時間で分けていました。新型コロナ感染で亡くなった人の場合、遺族も感染してい
る可能性があるので、葬儀はほとんどの場合、行っていないようです。

4月末に私が行った都内の斎場では、「骨上げ」は参列者が遺骨を箸で挟み合うことをせ
ず、一人ひとりが、ひとかけらの遺骨を箸で持って骨壷に1回入れただけで、そのあとは
火葬場の職員がすべての遺骨を骨壷の中にあけてしまいました。
少しでも「3密」状態の時間を短くするためでしょう。

厚生労働省も、「遺体等を取り扱う方へ」という指針を出しています。本来、人が亡く
なると「墓地、埋葬等に関する法律」で、死後24時間は火葬が禁止されていますが、
新型コロナウイルス感染症で亡くなった場合は、感染症法などに基づいて24時間以内に
火葬することができるとし、強制ではないですが、感染拡大を防止するため速やかに行う
ことが求められていると聞きます。また、ご遺体は非透過性の納体袋に収容して密封
することになっています。

私はかつて、中越沖地震に被災した旧山古志村(新潟県)の葬送に関する調査を行ったこと
がありました。この地区では、地震が起こる前までは自宅で葬儀を行っていたとのこと
です。ところが地震の後、仮設住宅で暮らすようになり、そこで死者が出ると仮設住宅
では葬儀を行うだけの広さはないので、みなセレモニーホール(葬祭施設)で葬儀を行う
ようになったといいます。やがて仮設住宅暮らしが終わり、元の生活に戻ったらどう
なったかというと、自宅葬は消え、すっかりセレモニーホールで行う葬儀が定着した
といいます。
むかしから行われてきた伝統儀礼を、最初にやめる勇気は誰もがなかなか持てないもの
です。ただ自宅に親戚中が集まって葬儀の準備をするのは大変だなあ、とは思っていた
そうです。
それが、「仮設住宅では自宅葬ができない」という、誰もが納得する理由があれば、
躊躇せず「別のやり方」にシフトしました。
このように、きっかけがあれば、文化は容易に変化していくものです。したがって、
コロナ禍の時期が長引けば、それが過ぎ去ったあとの葬儀は、簡略化していくのでは
ないかと推測しています。

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